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2011
01.05

イザ、モードゥナへ!

 ローカルリーヴ納品でザナラーンのキャンプ・ブルーフォグへ行くと、いつもその先に行きたいと思っていた。この先にはまだ見たことがない地があると。
 でも、ちょっと足を延ばすとそこにはいかにも凶悪なモンスターが地を徘徊していて、わたしなんかでは撫でられただけで即デジョンになること請け合いだった。
「無理だ」
 そう自分に言い聞かせては、いつも逃げるように引き返してきた。
 そしていつも冒険者ギルドでみんなの話についていけず、すみっこで型紙を描いているのだ。

 先日裁縫のランク30リーヴ納品で久しぶりにブルーフォグに行った。ワリといい出来のケクスを規定より多い6本も納品して、貴重なギルドトークンやいつもより多めの報酬を受け取って気分が良かったからかもしれない。
 その日は久しぶりに澄んだザナラーンらしい青空が広がっていて、高低差の激しいこの辺りは遠くまで見渡せた。きっとそんな風景がわたしにそう思わせたのかもしれない。
「ちょっと先を見に行ってみようか」
 ダメだったら引き返せばいいのだ。

 遠くに、最近発見された新種のサソリ型モンスターやペイストなどが見える。彼らの視力ではここにいるわたしまでは見えないから気付かれることはないだろう。
 冒険者ギルドでもらった地形図を広げ、通れそうな場所を探していく。
 ……これならこの地域を抜けられるんじゃないだろうか。少なくとも、今のモンスターの位置からすれば相当先まで進めるはずだ。確かこの先にはプラント入口の門があって安全だという話を聞いたことがある。少なくともそこまでは進めそうだ。
 前にLSの誰かが「探索は迷ったらダメだ。迷う前に進め」と言っていたのを思い出して、わたしは地形図をカバンに押し込んだ。

 ザナラーンの熱射が久々に身に堪えた。ああ、なんで出てくる時に日焼けクリームを塗ってこなかったんだ。きっと首の後ろ辺りはもう真っ赤だ。ヒリヒリする。
 途中で崖下にいたペイストの発見が遅れた時は肝を冷やした。とにかく全力で走っていて振り向いている余裕はなかったので彼が追ってきたかどうかは知らないけれど、魔法攻撃を受けなかったから多分気付かれなかったのだろう。
 ひとまず安全と言われているプラントまでようやくたどり着いて、わたしは水筒の蓋を開けた。
 プラントは、今は無人らしい。門も閉まっているし、そもそも中に入れないのにどこが安全なんだと思いつつカバンから地形図を取り出し、周りを見渡す。
 ここと、ここと、ここにモンスター。ここから影になっているところは見えないので注意しないと。先に進むにはこの細い谷間を通らないといけないけれど、その手前に1匹いるのが厄介ね。その先はもうわたしでも見えない。
 よしっと気合を入れなおして立ち上がり、カバンを背負った。ああ、日焼け止めクリームはもう仕方が無い。無事帰ったら入念に肌の手入れをしよう。美容クリームなんて誰か作れたかしら。

 なるべく広く視界が取れる場所を選んで走った。遠くまで見渡す眼なら、サンシーカーは他の誰にも負けない。多分この眼はわたしたち種族が持つ最大の武器だ。夜の視界はムーンに譲るけれど、昼間ならあの遠くに視えるジャッカルなんかに負けるわけがない。
 わたしは彼らの視界の死角を選んで走りぬけ、そして突然―――景色が変わった。


 雨が降りだした。青く高かった空はどんよりとした鉛色に変わった。
 乾いた砂と土が延々と続いていた地は鈍色の硬い岩になり、ところどころに見たこともない水晶類のような鉱物が顔を出していた。
 ここが、モードゥナ。
 ラノシアが海と草原、ザナラーンが岩と砂漠、黒衣森が森林だとしたら、ここは死の湿原だ。生命の息吹を全く感じさせない、死の大地だ。
 そして遠くに見える、大きな塔。
 あれはどこかの街で旅の絵描きが見せてくれた塔だ。その昔の飛行船が龍の怒りを買って墜落させられたものだと聞いた。それ以降、モードゥナは死の土地になったのだ、と。
 では両端に見える翼のようなものは、あれは龍の翼だろうか。
 周りに目を配らせながら東へと進む。以前、モードゥナに行くならまずは東に進んでキャンプ・ブリトルパークに行けと誰かが言っていたのを聞いたことがある。そこで態勢を整えてから先に進めと。
 遠くに見えるモンスターは見たことがない種族ばかりだった。体が大きいのであまり素破しっこくないだろうけれど、まともにやりあってはいくら命があっても足りない。
 雨のせいで視界はあまりよくないけれど、それでも割と平坦で広い土地柄なのか、特に問題もなく、遠目にエーテライトの光が見えるところまでやってきた。


 ブリトルパークのトーマスさんが言うには、北にレブナンツトールというキャンプがあるらしい。近いのは東を進むルートだけれども、大型のキャラバンを組んでいかないと相当危険だという。おすすめは西ルートだそうだ。東回りよりモンスターの数が少ないのと、ゴブリン属がいるくらいなので比較的安全圏な場所もあるということかららしい。北へ向かう冒険者を引き止めるのはもう無駄と判っているから、せめて遠回りだが西のルートで進めと言っているのだ。
 わたしはお礼を言ってキャンプを後にした。忠告を素直に聞いて西のルートで進むことにした。
 もうこうなったら意地だ。進めるところまで進もう。行けるところまで行って、もう駄目だと自分が納得出来たらテレポで帰ろう。
 普段ほとんど街から出ないわたしがそんな大冒険をしてきたと知ったら、きっとみんな驚くだろう。革と裁縫のことしか知らないわたしだって、立派な冒険者として話に華を咲かせることが出来るんだ。


 途中で絶景と出会った。
 炎のオーガを避けて岩山を登ったところに開けていた。
 この下はきっと未開の地だろう。草原っぽくも見えるけれど、この崖を降りるルートがなさそうだった。
 この景色のことは冒険者ギルドで皆に話そう。死の大地から見える未開の大草原とくれば、きっと皆大好きなネタだろう。きっと盛り上がる。


 そんな景色を他にも探しつつ、気が付けば目的のレブナンツトールに到着していた。
 意外とあっけないな、というのが正直な感想だった。ただ運が良かっただけなのかもしれない。今まであれだけ足が進まなかったブルーフォグから出発して、ここまで来るのに一度もモンスターに絡まれなかった。もちろん細心の注意を払ってはいたけれど、結局モンスターに行く手を阻まれることはなかった。
 キャンプでは歓迎された。しがない駆け出し裁縫師でしかないわたしがこんなところまでやってきたと知って、素っ頓狂な声を上げた冒険者もいた。

 なぜこんなところまでやってきたか。理由を聞かれたらきっと「なんとなく」と答えるだろう。報酬を多く貰って気分が良かったから冒険しようと思った、それには間違いない。
 でも、広く大きな世界をもっと体験してみたいという冒険者の魂が、わたしの心の奥の何処かにあったからだと、そんなだいそれたことをちょっぴり思った。


*******************************************************************
最初は普通に日記を書いていたのですが、だんだん文章が小説っぽくなってきてしまいまして、じゃあ、久しぶりにそれっぽく書いてみますかということで、なんとなく小説風の冒険記です。
しばらく書いていないので本当に上辺だけの薄っぺらい内容になってしまいましたが、たまにはこんなのもアリなんじゃないかなあと思いつつ、次回のクルザス編に続きます?


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コメント
クルザス編まで待ちますよ?
未開の地のとこ気になるなw
私も見てみたいな~ あの辺かな?
アルヒャdot 2011.01.06 18:36 | 編集
冒険心のかけらもない冒険者が通りますよっと(〃´・ω・`)ゞ。
どちらかというとアクセサリー&ドクターみたいな感じになってきてます;
文の合い間に挿絵のようにSSが入っているし、ファンタジー本の1ページを覗いている気分になりましたよ♪
れいんdot 2011.01.06 21:38 | 編集

冒険日誌ってこんな感じなんじゃないでしょうか。

日焼けでひりひりとか、想像を加えた広げ方とか、なるるの外伝もそんな感じで書いてました。

意外と、ぐだぐだ表現広げて書くより読みやすくて逆にこっちの想像を広げられるのでよいかと。

ただ、やっぱり、世界を知ってる(そのゲームをプレイしてる)方がいいんだろうなぁ、とちょっと悔しかったりもしますががが。

なにはともあれ、がんばってください(^^
なるるんdot 2011.01.06 22:27 | 編集
>アルヒャさん クルザス編は今まとめているところですw
未開の地のところは、モードゥナのちょうど真西の方向だったかな~とウル覚えながら。
あの辺り結構必死だったものでw
Mintondot 2011.01.07 10:23 | 編集
>レインさん 冒険心ならわたしよりもレインさんのほうがあるんじゃないの?w
結構狩に行ってるし、わたしみたいな専業服屋よりよっぽどだと思うw
SSはよく見るとみな同じ構図だったので、今度は気をつけて撮ってみますorz
Mintondot 2011.01.07 10:26 | 編集
>なるるさん 冒険日誌を意識して書いたので、まあこんなもんじゃないかなあと。
もうちょっと感情を入れたり、世界観描写を入れたり、情景描写を入れたほうが良かったなあと、読み返してから改めて。
そうすれば、ゲーム未プレイの方にもあのドキドキ感がもうちょっと伝わったんじゃないかなあと、そう思います。

Mintondot 2011.01.07 10:29 | 編集
>遠くまで見渡す眼なら、サンシーカーは他の誰にも負けない。
>わたしは水筒の蓋を開けた。
>革と裁縫のことしか知らないわたしだって、立派な冒険者として話に華を咲かせることが出来るんだ。
 ↑
すごくリアルに感じれたよ。
良いね、これ。

でも個人的な好みを言わせていただくと、もうちょっと行間と言うか空気がほしいかも。急いでる感覚でわざと行間つめてるのかもしれないが、もう少しこう息を吸うところが欲しかったです。

なんて生意気言ってみた>w<

続編待ってます!


tr.horusdot 2011.01.08 20:12 | 編集
>おっちゃん そうそう、ちょっとペースが速すぎというか、その場の状況をパパッと書いているだけで、奥行きがないなあということを、掲載した後の読み返しで感じました。
普段は書いて改稿して書いて改稿してを繰り返して仕上げていくのですが、今回はまったくそれをしなかったので、まあ、こんなものか、と思ってくださいw
Mintondot 2011.01.10 00:13 | 編集
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